導入・背景
ハードコアFPS『Escape from Tarkov(EFT)』において、2025年7月に全サーバーリセット(ワイプ)が実施されることが明らかになりました。今回のワイプは従来よりも大幅に難度が上昇する「ハードコアワイプ」と位置付けられており、ゲームシステムに数々の変更が加えられます。
開発元のBattlestate Games(BSG)は公式SNSやロードマップで事前に情報を小出しに公開しており、プレイヤーコミュニティでも期待と不安が入り混じった議論が巻き起こっています。本記事では、ワイプの正式日時や公式発表内容、導入された主な変更点、新要素、初期反応、そして今後の展望について、最新情報をまとめてお伝えします。
ワイプ実施の日時と公式発表
BSGは現地時間2025年7月9日(日本時間同日16:00)より、EFT本編のパッチ0.16.8.0および関連作のTarkov: Arenaのパッチ0.3.2.1を導入するためのメンテナンスを実施すると発表しました。このメンテナンスは約6時間に及ぶ予定で、延長の可能性もあるとのことです。
メンテナンス中はEFT本編・Arenaともにプレイ不可となり、EFT本編では全プレイヤーのデータリセット(ワイプ)が行われます(なお、Arenaモードは一部のみの部分ワイプとなる模様)。
公式Twitter(X)上での告知によれば、ヨーロッパ夏時間(BST)7月9日8:00開始(米東部時間3:00開始)と案内されており、日本時間では7月9日16:00~22:00が想定されています。この告知ツイートには「#EscapefromTarkov 明日7月9日、予定通りパッチ0.16.8.0を導入する」と明記されており、ワイプ実施が公式に確定しました。
さらにBSGのスタジオヘッドであるニキータ・ブヤノフ氏(Nikita Buyanov)も自身のTwitterアカウントでロシア語の「Вайп завтра! (VAIP ZAVTRA!)」と投稿し、「ワイプは明日だ!」と宣言しています。これに対し、BSGスタッフも「DA!(はい!)」と肯定のコメントを寄せており、公式Discordなど各所で明日に向けた準備喚起が行われました。
今回は告知から実施までわずか1日という異例の速さで進行し、従来行われていたワイプ直前のゲーム内イベントも特に行われませんでした。公式サイトでは新パッチのパッチノート公開も予告され、ワイプ実施に備えるようプレイヤーに呼びかけています。
ハードコアワイプで導入された主な変更点
BSGは今回のワイプを「ハードコアワイプ」と位置付け、ゲーム体験をより過酷にする多数の変更を導入します。その内容は事前に段階的に公開されており、以下が主な変更点・新要素です。
1. フリーマーケット(プレイヤー間取引市場)の無効化
プレイヤー同士で装備や物資を売買できるフリーマーケットが完全に停止されます。これにより必要な物資はゲーム内トレーダーやレイド中の収集に頼るしかなくなり、市場経済に依存した従来の戦略は通用しなくなります。
2. 隠れ家(ハイドアウト)関連の変更
隠れ家アップグレードに要求されるアイテム数が全般的に増加し、拠点強化のハードルが上がります。一方で一部アップグレードでは必要素材が「Found in Raid(現地調達品)」でなくても良くなる変更も導入され、手持ちのアイテムで進行を賄える場面も出てきます。
また隠れ家での弾薬クラフトが制限され、特定弾薬を大量生産することが難しくなりました。全体として隠れ家の運用難度が上がり、進行ペースのスローダウンが予想されます。
3. レアアイテムのドロップ率低下
マップ上でスポーンする高価値のレアアイテム出現確率が引き下げられました。これにより高額戦利品を拾える機会が減少し、序盤からの一攫千金や装備充実がさらに困難になります。
4. マップアクセス制限とトランジット導入
今回のワイプでは最初から全てのマップに自由に出撃できなくなる点が大きな特徴です。多くのロケーションが当初はロックされ、既にアクセス可能なエリアから”トランジット”(移動手段)を使ってのみ他エリアへ到達できる形になります。
例えば、プレイヤーはまず特定の初期マップで装備を整え、そこから解放された経路を辿って他のマップに進出するといった段階的進行が必要になります。開発チームによれば、これらマップ解禁の制限はプレイヤーの進行度に合わせて波状的(段階的)に緩和されていく計画であり、時間経過や条件達成に応じて徐々に行ける場所が増えるとのことです。
5. セキュアコンテナの機能弱体化
プレイヤーが死亡しても中身を失わないセキュアコンテナ(安全保管箱)について、弾薬、通貨、一部の医薬品を収納できなくなる制限が設けられました。これまで保険代わりに弾丸やお金をコンテナに入れて持ち帰るテクニックは封じられ、リスク管理が一層難しくなります。
6. トレーダーの在庫縮小と経済バランス変更
ゲーム内のNPCトレーダーが取り扱う物資のラインナップが大幅に縮小されます。特に医薬品、武器、弾薬、防具の品揃えが絞られ、必要な装備がすぐには買えない事態が増えそうです。
加えてトレード時の価格調整も行われ、アイテム売却価格はこれまでより低く、購入価格はより高く設定されます。物資調達の金銭的コストが増大し、経済的にもサバイバル要素が強化されました。
7. ボス出現率100%&AI難易度の上昇
全てのマップでボス級NPCの出現率が100%に設定されます。つまりどのレイドでも必ず各マップ固有のボスと遭遇することになり、毎回がハイリスク・ハイリターンな戦闘の場となります。
さらにAI敵の戦闘難易度が全般的に上昇し、通常のスカブ(Scav)やガード兵といった敵対NPCも一層手強くなります。従来以上に綿密な準備と慎重な行動が求められるでしょう。
8. 経験値システムの変更
レイドで獲得できる経験値配分も調整されました。具体的には、敵PMCやScavを倒した際、および自キャラが死亡した際に得られる経験値が大幅に減少する一方で、レイドから生還して脱出に成功した際に得られる経験値ボーナスが増加しています。
この変更により、むやみに交戦するより生き残ることに重点を置いた行動が報われるバランスに転換されました。
9. 新武器「AK-50」ライフルの追加
パッチ0.16.8.0ではゲーム内に新たな銃火器も登場します。その目玉が「AK-50」と呼ばれる大型アサルトライフルです。AKプラットフォームでありながら.50 BMG弾という超大型弾薬を使用する強力な銃で、公開された映像では凄まじい発砲音が特徴的だと伝えられています。従来にない火力を持つ武器の投入は、戦闘バランスにどのような影響を与えるか注目されています。
10. その他の技術改善・新要素
上記以外にも、今回のパッチでは多数の品質改善(QoL)や不具合修正が含まれます。ロードマップ情報によれば、ShorelineやGround Zeroといったマップの最適化、他プレイヤーの銃声のリバーブ改善などオーディオシステムの強化も行われる予定です。
また、クラフト素材の一括購入機能や新しいトランジット操作の仕様(利用時にキー長押しが必要になる等)も追加され、細かな操作性が向上しています。全体としてゲームの最終盤に向けた調整と新要素の実装が盛り込まれた大型アップデートと言えるでしょう。
ユーザーの初期反応
コミュニティの反応は賛否両論となりました。多くのプレイヤーは今回の変更内容に衝撃を受け、あまりの過酷さに「終末モード(ドゥームズデイ)だ」と半ば自嘲気味に称する声も上がっています。
特にロケーション制限による行動の不自由さや、必要物資量の増加によるグラインド(長時間の反復プレイ)要素の強化については「極端すぎてカジュアル層が置いていかれるのではないか」という懸念が強く、実際「この仕様では自分にはついていけない」「しばらく休止する」という声も見られました。レアアイテムの入手難度上昇や経済バランスの厳格化についても、「序盤の物資不足が深刻になりすぎる」と不安視する意見が多いようです。
一方でポジティブな意見も少なくありません。もともとEFTの緊張感あるゲーム性を好む層からは「本来のタルコフらしさが戻ってくる」「待ち望んだ本格的ハードコア体験だ」と今回の試みを歓迎する声があります。
また「判断を下すのは実際にプレイしてみてから」と様子見を呼びかけるユーザーもおり、中には「初期装備でのサバイバル感が長持ちするなら楽しみ」という肯定的な意見も見られます。ボスが毎レイド確定出現する点については概ね好評で、「毎回最難関NPCと戦えるのは刺激的だ」「ボス素材集めがはかどりそうだ」といった期待の声が上がっています。
また、ゲーム外のメタな視点からは懸念点の指摘も出ています。例えば「Scavモード(AIスカブとしてのプレイ)で物資を持ち帰ったり、EFT:Arenaとのプロフィール共有要素(REF)を使えば序盤の物資不足を容易に補えてしまい、せっかくのハードコア要素が骨抜きになるのではないか」という指摘もありました。
これに対しNikita氏は早速コメントを発表し、問題視されているScavとREFシステムについてはワイプ開始後にバランス調整(弱体化)を行う予定であると表明しています。さらに「今回のハードコア化でゲームがあまりにも時間泥棒になり、ライト層が離れてしまうのでは」との声も根強くあります。
実際、開発陣もカジュアルプレイヤーのアクセス性が課題になる可能性は認識しているようで、フィードバック次第では適宜調整を加える用意があるようです。「なぜ正式リリース間近のこの時期にこんな大胆な実験を?」という疑問も一部で出ていますが、これについては「1.0前の最後の大規模テストとして今やっておく意義は大きい」と理解を示す意見もあります。
BSG側も「プレイヤーのフィードバックに注意深く耳を傾け、必要に応じてさらなる説明や調整を提供していく」とコメントしており、実験的な要素は様子を見ながら段階的に調整される見通しです。コミュニティ全体としては不安7割・期待3割といった空気ですが、実際のゲーム内でこれら変更がどう機能するかを見極めたいという声が多く、初日から各所で活発な情報共有と議論が行われることが予想されます。
今後の展望とイベント予定
BSGは今回のハードコアワイプを一つの実験的シーズンと位置付けており、今後の動向次第では元の通常路線に戻したり、あるいは将来的にオプションとしてハードコアモードを実装するといった可能性も取り沙汰されています(現時点で正式に発表された方針ではありません)。
開発チームは「ハードコア要素は波状的に適用し、プレイヤーの進行に合わせて段階的に変更を加えていく計画だ」と述べており、今後のパッチでもプレイヤーの反応を見ながら柔軟に調整を続けていくことを約束しています。
ロードマップによれば、7月のパッチ期間中には「巨大なロア(Lore)イベント」が予定されています。これはストーリーに関わる大規模なゲーム内イベントとみられ、具体的な内容は不明ながら7月中旬以降に何らかの形で展開される模様です。
さらに8月にももう一つ大型イベントが控えており、パッチ0.16.9.0においてInterchangeマップの拡張や新たな仕掛けが実装される見通しです。BSGはこうしたイベントを通じて正式リリース前にゲーム世界の物語を収束させ、コミュニティを盛り上げていく計画です。
そして最大の注目点は、次回ワイプが事実上ゲームの正式版リリース(バージョン1.0)に当たると示唆されていることです。BSGは2025年内の1.0ローンチを目標に掲げており、「次のワイプが最後のワイプ」になる可能性があります。
1.0では最後の新マップ「Terminal(ターミナル)」が実装され物語のエンドゲームが描かれる予定で、開発チームはそのティーザー映像も公開しました。さらにSteam版での配信開始も控えており(まず対戦特化の『Arena』を先行、続いて本編も1.0後にSteam展開予定)、EFTは大きな節目を迎えようとしています。今回のハードコアワイプで得られるデータやフィードバックは、その正式リリースに向けた最終調整に活かされることでしょう。
まとめ
2025年7月の『Escape from Tarkov』ワイプは、ゲームの歴史上もっとも大胆な試みと言えるハードコアモードへのシフトとなりました。公式発表されたワイプ日時と共に、BSGはフリーマーケット停止からマップ解禁の段階制限まで、多岐にわたる変更を導入しています。
これに対しコミュニティの反応は賛否両論ですが、常に進化と挑戦を続けるEFTらしいアップデートだという声もあります。開発側もプレイヤーの声に耳を傾けつつ適宜手直しを加える姿勢を示しており、この厳しいシーズンを乗り越えた先にどんな最終形が待っているのか期待が高まります。
次回はいよいよ正式版への移行も見据えた局面となるだけに、今回のハードコアワイプでの経験がゲーム全体に与える影響は計り知れません。新たな戦いの幕開けを迎えたタルコフで、生き残る準備はできているでしょうか。過酷な戦場での幸運を祈ります――Get Ready for the Hardcore Wipe!
Escape from Tarkovの仲間を探すならGamee!
ゲーム友達募集アプリ「Gamee」なら、今回のハードコアワイプで一緒に戦うタルコフ仲間を簡単に見つけられます。
Gameeの特徴:
- 30秒で募集投稿
- 330以上のゲームタイトルに対応
- チャット・ボイスチャット機能搭載
- レベルや経験値で同じ実力の仲間を見つけやすい
- レイドスタイル(ガチ勢・エンジョイ勢)を選んでマッチング
ハードコアワイプで過酷になったタルコフも、信頼できる仲間がいれば攻略の道は開けます。ソロでは難しい高難度ボス戦も、チームなら勝機があります。

参考資料・出典
- 「2025年7月8日 EFT ワイプ告知」(タルコフ情報省, 2025年7月9日) – 公式Twitterによるワイプ実施告知の日本語訳と日時情報
- 「2025年7月8日 EFT ワイプに向けての準備」(タルコフ情報省, 2025年7月9日) – Nikita氏による「ワイプ明日」の発言紹介
- 「『Escape from Tarkov』「ハードコアワイプ」の全容が明らかに」(Game*Spark, 2025年7月5日) – ハードコアワイプでの各種制限・変更点の詳細レポート
- 「Tarkov Hardcore Wipe: Brutal Changes Coming This Month」(Boosting-Ground, 2025年7月) – コミュニティの反応まとめ
- 「TarkovTVまとめスレッド」(Reddit, 2025年4月19日) – 2025年ロードマップ情報
- 「Escape From Tarkov 2025 Roadmap」(ResetEraフォーラム, 2025年4月19日) – 新マップTerminalやSteam配信に関する計画
コメント